オケの練習 その3

最初にセビリアの理髪師序曲、次にラロのスペイン交響曲、最後にベト7の第1楽章をやった。今回、わたしは最後尾に座って弾くことにした。遅刻したわけではない。後ろに座りたがる2期生らを前に追いやったため。後方からはオケ全体が俯瞰できるし、指揮者やコンマスの姿はもちろん、チェロの皆さんの弾き方、管楽器の様子も観察可能なので悪くなかった。

しかし、チェロトップふたりの手元はよく見えない。もどかしいから休憩後は第2列の一番前に移動した。2期生グループの最前列は単独席だから、誰も座りたがらない。前回同様、そこだけは空席だった。前に出てくると指揮者の話声はよく聞こえるかわりに、視覚的にも聴覚的にも全体像は把握出来なくなる。チェロパートの後ろの様子もわからない。周囲も混み合ってくるので、どちらの場所が弾きやすいかは微妙。

スペイン交響曲を合わせるのは今日が初めてだった。指揮者も今までやったことがない曲だそうで 「皆さんと一緒に勉強させてもらいます」とのご挨拶。謙虚なお人柄を感じる。

この曲、リズムの刻みがややこしい。細かい休符の入れ方が複雑で、 テンポが伸びたり縮んだりの指定も多い。ピツィカートとアルコが頻繁に入れ替わるのも厄介。協奏曲だからなのか、やたらとピツィカートが出てくる。なので一見、音符が少なくて簡単そうな譜面が、実際はそうでもなかった。

スペイン交響曲(5楽章まである)を通したあと、ベト7第1楽章をやった。ラロに比べると密度が濃いし重厚壮大。格の違いを見せつける。みなさんも同感だったようで、ノリノリで弾いていた。

ところでこのオケの指揮者は、元NHK交響楽団セカンドトップだった方。われわれがお世話になっているグループレッスのS先生のお父さんでもある。S先生のお話では、父はN響時代にダメ指揮者からさんざ嫌な目にあってきたので、自分が指揮する場合は、オーケストラ奏者にとって嫌らしい態度は取らない主義なのだという。ということは、特定のパートを吊るしあげたりは、あまりなさらないのだろう^^;

口数が少ないのも、そういうことが関係しているらしい。指揮者の中には饒舌な人もいる。指揮者にとっては、どう伝えるかは重要ではない。どう実行させるか、その能力が求められる。具体的な奏法指導が出来ない場合、イメージを語ったりして、おしゃべりになる。

オケに入る前の見学時には、あまりに寡黙なので大丈夫かと思ったものだが、今のところ、必要な時にチラッとこっちを向いてくださるので満足している。最小の言葉と動きでオケをまとめるのは、ベテランの芸当だろう。外野から見ているだけではわからないこともあるようだ。




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