バッハの音楽はお祈りのようなもの

弦楽合奏団の練習にお試し参加した。曲はバッハの「ブランデンブルク協奏曲第3番」第1楽章。プロとアマチュアの混成団体で、各パート・トップにはプロが座っていた(バイオリンには他にも複数のプロがいた)。20数名での合奏はきっちり揃うし、音量も出ていて、アマチュアのになさんもしっかり弾けていた。練習日は木曜の午後と決まっているから団員はシニア世代が大半。しかし、レイトスターターが多いグループにありがちなルーズな音程、アバウトなリズム、耳障りな音色などとは無縁。ブランデンブルクは初回合わせで、もう形は出来上がっていた。指揮者は年配のベテランの先生。演奏の合間にバッハの音楽に関するお話を聞かせて下さった。
 
①最近は普通のオケはバッハをやらなくなった。ピリオド楽器の専門団体がバッハをするようになったためである。なので昔のオケ奏者(プロ)なら当然のように知っていたバッハ演奏の作法を最近は知らない場合もある。

②バッハの楽譜にはフォルテとかピアノとかの強弱記号やその他の表情付けのための記号がほとんど書いてない。当時は手書きの楽譜も普通に使われ、作曲者が演奏会のたびに楽譜を持参していた。どういう演奏をするのか直接対話が出来たし、作法というか暗黙の了解事項もあったので、細かい指示記号を記入しなくても困らなかった。

③曲の冒頭はフォルテで始めるのが原則。長い休符の後に再開するときもフォルテが原則。バロック音楽の強弱変化はデジタル的にスパッと切り替えるのが原則。リズムの刻みは弾むような感じでやる。ベターっとした弾き方はダメ。

④指揮法もバッハの場合は後代の音楽とはちょっと違ってくる。出だしの合図は、ごくわずかな(極めて小さい動きでの)空振りの直後にカチッと一振り。そこからパッと音出しをする。もっさりはダメ。

⑤バッハの音楽は祈りのようなもの。お経を唱えると(意味が分からずとも)功徳があるといわれるように、バッハの音楽もあれこれと弾き手が演出を考える必要はない。淡々と弾いているだけで立派な音楽がそびえ立ってくる。お祈りの言葉を唱えるように無心に弾きなさい。

⑥チェロは(他の楽器も)3パートに別れて弾く。それぞれが違う音を出しているので不安になるかもしれないが、自分の担当パートは自信を持って弾きなさい。そうすることでバッハが意図した和音が綺麗に響く。

などなど。練習時間80分。いろいろなお話もあり、演奏共々面白かった。




にほんブログ村 クラシックブログ チェロへ
にほんブログ村