弦楽アンサンブル #17

ベートーヴェン弦楽四重奏曲第14番を弦楽合奏で演奏する3回目。今日は第5楽章〜第6楽章の初合わせだった。第5楽章はプレスト指定で、スケルッツォに相当するホ長調の曲。晦渋な音楽が続く全体の中で、ここには快活で明るい雰囲気がある。

5部形式で同一の中間部が2度繰り返されるロンド形式になっているため繰り返しが多い。自宅でチェロパートをさらった時は、似たようなフレーズが延々と出てくるから飽きてしまった。嫌気がさして、ベートーヴェンのしつこさは、本当にくどいと閉口していた。しかし、全体で合わせてみると、その繰り返しが飄々とした味わいすら感じられて予想外に面白い。他のパートの音が入っている、いないでは大違いだった。4つの声部が揃って完成する音楽だから、チェロパートを単独で弾いていると「ここはどこ?私は何してるの?」状態になるのだ。

指揮者の先生からは、細部は多少粗くなっても構わないので、とにかく勢いのある流れを作って弾くようにとの注文。その勢いも、ところどころに仕掛けてあるリタルダンド指定で急にせき止められたり、クレシェンドで盛り上がった先にピアノ指定があったりと、一筋縄ではいかない曲者ぶりが満載。469小節からは「スル・ポンティチェロ(駒の上を弾く)」の指定があり、ささくれた貧相な響きを要求してくる。そうそうストレートに気持よく弾かせてはくれない作曲者である。

アタッカで次のアダージョ楽章に入ると、狂騒から一転して、しんみりとした静観的雰囲気となる。第九の終楽章の後半とかミサ・ソレムニスのサンクストゥスの途中にも似たような瞬間があるベートーヴェン後期特有の内省的な響きが現れる。2つの楽章の初合わせだったが、すんなり通ってしまうのだから、皆さん上手なものだ。

練習後は、はやくも忘年会に突入。同じテーブルの横の席に座ったチェロのおじさんから、脳梗塞の後遺症で右目の視野が半分欠けているとか、心臓にステントが4個入っているとかの話を聞いた。一方、向こう側の座席にいる70代のバイオリンのおじさんも目が加齢黄斑変性で中心が見にくく、ものが歪んで見えるため、譜面台にLEDライトを付けて楽譜を照らしている話を聞いた。リタイアした人が多い合奏団だから、病気や体調に関する話題は豊富で尽きることがない (^^*



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