弦楽アンサンブル #23

グリーク「2つの悲しい旋律」op.34の2回目。簡単な曲だから皆さんもう出来上がっている。全体練習の前のパート練習では主にfpでの弓の使い方、分量配分とか弓速の調整、弓の急な戻しなどを集中的にさらった。音量変化にメリハリを付けて、ダイナミックレンジを広く取るための弾き方の実践。

全体練習で指揮者から出た注文も音楽的なことだけ。指揮を担当されている先生は桐朋の指揮科で斎藤メソードを学んでおられる。斎藤秀雄さんが編み出した指揮法は、奏者にとって大変わかりやすいので、一発勝負の指揮者コンクールなどでは斎藤メソードを学習している方が有利なんだとか。そういう理由もあって世界中に広まったそうだ。某N響の団員から聞いた話では、棒は正確に振れるけど音楽が全然分かってない指揮者がたまに来るそうだ。弱音で始まる曲の冒頭で指揮する手をバサッとぶっきら棒に振り下ろしたりと、しょうもないことをやる。しかし、棒は正確に動くのでついて行かざるを得ないとこぼしていたとか。

リタルダンドではテンポを徐々に遅くする」ということは誰もが知っているが、幾何級数的に遅くしてゆくのが正しいリタルダンドという説明があった。指揮棒の振り方も徐々に遅く動かすのではなく、棒を振る範囲(面積)を徐々に拡大してゆくのが斎藤式の振り方なんだとか。へぇ〜そうだったのか。

このような説明を指揮者から聞く機会は今までにはなかった。他のオケに参加した時に見てきた指揮者らは、いちいち指揮の方法論の細部を説明しない。うまい指揮者は身体の動きが機敏で無駄な動作がないし、鋭い目線でポイントをストレートに伝えてくる。うまくない指揮者は目が泳いでいるか死んでる。目線はずーっと下向きでスコアを見たまま、腕だけ動かしたり。誰に向かって情報を発信したいのか不明なマリオネットのようなぎこちない動きが滑稽に見えたりする。現在、弦楽アンサンブルの指導をしている先生は、わかりやすい指揮を心がけてくれるので助かる。



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