チェロのレッスン 131

6回目となるバッハ「無伴奏チェロ曲第2番」のレッスン。プレリュードを弾いたらO先生から「前回と随分違いますね」と言われた。音が大きく前に出ているとのこと。3週間ぶりのレッスンだから、その間の練習の成果もあるだろう。かなり流れるようになっている。

それと使っている弓が違うことも説明した。前回は古いフレンチ弓だったが今回はジャーマン新作できらびやかな音が出る。佐々木ヴァイオリンの店主がドイツで買い付けてきた品である。彼はHPで弓の重要性をさかんに説いているが、確かに目利きが選別した弓は格段に弾きやすい。新しいので重音が固めに響く弱点があるけど、竿のパワーが強いため朗々と図太い音が出る。調子に乗って弾くと攻めのバッハというか、硬派でキラキラの一本調子になりがち。途中で音色を変える工夫が必要との指摘を受けた。例えば25小節から音調が変化するところを少し暗目の柔らかい音に切り替えるとか。レッスンの途中で弓談義になり、ローザンヌの作家が作った弓も弾いてもらった。音が出た瞬間に「まろやかですね〜♪」。マイルドな性格の弓がお好きなようだった。

音程チェックもしてもらい、概ねB♭は十分に下がりきらない、反対にG♯は上がりきらない傾向があるとの指摘。26小節から29小節まで並んでいる16分音符4つで一組のパターンに出てくる最低音を強調して弾くようにとも。ここは承知の箇所なのでそうしたつもりだが、他の音まで強く弾いていたようだ。

35小節の一拍目に出ているG−Fis−G−CisのFisはO先生の楽譜ではF。オヤオヤとなった。このFisは横山さんの楽譜で小さめのシャープが付けてある音。FでもFisでもいいとの意味なのだろう。私はFisの方がしっくり来る。O先生も両方弾いてみて、Fisもアリですねとのご意見だった。

曲の最後の部分、59小節からの重音の連続場面は分散和音で弾くことにして各種楽譜を検討した結果、トルトゥリエの校訂譜に出ている譜例を使うことにした。O先生はトルトゥリエの楽譜は初めて見たようだ。トルトゥリエ考案の妙なヒゲ記号がたくさん並んでいるのを面白がっておられた。

シュタルケル版のようにもっとハイポジションまで使う例もあるが、私にはトルトゥリエの楽譜が穏当に感じられる。最後はここを重点的に見てもらい、フィンガリングの確認と62小節に出ているCisのトリル(上からかけるので4と3の指で行う)の弾き方を教わった。小指でトリルをするのは難しいが、O先生によればこういう場面では腕を使った強めのビブラート風に手首全体を揺らすつもりでトリルをかけるといいのだそうだ。筋力が弱い小指にばかり依存しないでトリルが出来る裏技。

ある方のブログに59小節のA−G−Cisの和音のGは属七の7度に当たるため低めに取ると書いてあるのを見たので、その点も先生に聞いてみたら、確かにそうですね〜とのこと。どの程度低めにするかは和音の響きの具合を聞いて判断することになるのだろう。細かく見てもらっているからプレリュードから先になかなか進まない。



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