ヴァイオリン教室#38

今日の練習会場はいつもとは違う隣街の駅近所の公民館だった。指導はO先生。連休中だから生徒の欠席が目立つ。私はいつもの右端ではなく、空席が並んでいる場所に移動して弾いてみた。高齢者2名の隣である。

おじいさんのテキストには、鉛筆の書き込みがいっぱいあって一生懸命勉強している様子。楽器の指板にも1の指、2の指、3の指、4の指の場所にセロテープが貼ってあった。努力の跡は見えるが、残念なことにほとんどの音程が違っていた(開放弦を弾く箇所では違う弦をこすっていた)。曲の途中で弓が止まることもしばしば。

その隣のおばあちゃんは弦を押さえる指が妙なことに。指先から10ミリぐらい下がったあたりの第一関節に近い指の腹をべったりと弦にくっつけ、ネックを深めににぎっている。弦に接触する指の面積が広く、点ではなく面になっているから音程も幅が出てくる。

前半の1時間はロシアの子供用教材の指パタパタ練習曲をやった。1番から11番まであるが、とうとう最後の11番まで進んだ。A線の1ポジ、4の指で取るEの音程が上がり切らない人が多いようで、O先生の注意はそこに集中していた。先生はニコニコ顔でなごやかに教えているけど、進め方に無駄がなく、スムーズに曲が進む。

後半は「新しいバイオリン教本」第1巻の62番「小さな遊び友だち」から始め、63番「ちょうちょう」、64番「リゴードン」まで進んだ。いずれもG線を多用する練習曲でフォルテ指定のため元弓を使いたがる生徒が多かったが、中弓でとのこと。8分音符は弓を節約して弾き、4分音符は全弓にと、運弓にメリハリを付けて弾くようにとも。自己陶酔して不用意なアクセント(演歌風のこぶし)を付けるものダメ。正確な音程、崩れないリズム、きれいな音色、豊かな音量、抑制を効かせた端正な表情が要求される。譜面はシンプルだから簡単そうに見えるけど、実際はそんなに簡単ではないと思う。

練習が終わってから幹事さんと駐車場でしばらく立ち話をした。彼女は経営母体の地元オケから派遣されているアマチュアのヴァイオリン奏者だが、1年やったらお役御免という約束で引受けた仕事なのに、代わりがいないとこぼす。練習会場の予約業務が結構負担が多くて大変らしい。ネットで予約可能なF市と違い、メインで使うC市の公民館は、事前に現場に2回出向いて手続きをしないと使えない。月初めの抽選会にも出る必要があるとかで、駆り出される日数が多いとのこと。

一昨年までやっていた同じオケが経営したチェロ教室でも似たような事情により途中で幹事さんが辞めてしまった(オケを退団)。3年間の最後の年は生徒側が会場の予約や集金、講師への支払いなどを代行して教室を運営していた。地元オケが収益事業でやる教室だから、本来は生徒(お客さん)が雑用をする必要はない。オケのメンバーにしても収益事業の雑務を手伝うために入団したわけではないだろう。アマオケが楽器教室を経営すると、どこかに皺寄せが来ることになるようだ。


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