弦楽合奏団演奏会に(ほぼ)飛び入り参加

隣町であった弦楽アンサンブルの演奏会に出てヴァイオリンを弾いてきた。月曜の13時30分開演。会場は郊外の新興住宅地にある自治会館。そこで定期的に行われている「ふれあいサロン」というイベントでの演奏会だった。

会場はこじんまりした平屋。仕切りの板戸を撤去して2つの部屋を連続させた50畳ぐらいの広間に聴衆(高齢者が多く、皆さん胸に名札を付けていた)が40人ぐらい集まった。演奏する側は13名。室内はぎっしり、満員御礼状態。

演奏曲目は11曲

① いつでも夢を    
② 青い山脈      
③ 故郷(ふるさと)  
④ 七つの子      
⑤ みどりのそよ風   
⑥ エーデルワイス   
⑦ にっぽん昔ばなし
⑧ 赤いスウィートピー
⑨ 結婚ワルツドラクエ
⑩ 黒い瞳
⑪ ユモレスク

ファーストヴァイオリン4名、セカンド5名、ヴィオラ2名、チェロ1名、コントラバス1名が出演。

この弦楽合奏団の存在はノーチェックだった。最近読んだ某アマチェロ奏者のブログに毛替えを依頼した弦楽器工房の話が出てきて、その工房のHPのリンクから知った。工房の職人さんがご夫婦で参加している由。毎月2回、平日午後に公民館で3時間の練習をしているという。YouTubeに練習風景が出ていて面白そう。ということで先週水曜日にヴァイオリンを持って見学に。

リーダー格の人の隣に座らせられ一緒に弾いた。練習の密度が濃く、皆さん真摯に(無駄口をたたかず)合奏していた。指導をしているベテラン(アマオケコンマス経験があるヴァイオリン奏者)の話は的確で効率的。練習時間の使い方が上手だと思った。弦楽器職人でもあるヴィオラおじさんが、私に向かって「もう参加決定ですよね〜♪」とニコニコ顔…そのまま人数不足のファーストに登録となった。次の演奏会まで4日しかなかったが、加わるよういわれて急遽出演。見学に行った日に弾いた中では「青い山脈」のみが本番と共通し、他の10曲は未経験のまま。本番数日前の定期練習日に、本番で弾かない曲をさらっている余裕の団体。

会場でのリハーサルがあったとはいえ、メール添付のPDFでもらった楽譜は弓順の変更箇所不明、テンポ不明。ほとんどぶっつけ本番に近い状態での参加となり、弓のアップダウンが一致しない場面が続出することに。動きを縮小して不一致がなるべく目立たないよう地味に弾いた。リーダーの人は弓順を無理に合わせなくてよいというけれど、長年の習慣で周囲を見てしまう。

大半の曲は知っていたが、ロシア歌曲の「黒い瞳」は聞いたことがあったような?YouTubeで検索してもロシア語の歌ゴニョゴニョでよくわからん。緩急の変化が多く、リズムも4分の4拍子と8分の3拍子の間を行ったり来たり。テンポは倍速になったり、元に戻ったりとややこしい。本番直前で知らされたテンポ設定は、楽譜のメトロノーム指定を無視してインテンポのまま。テンポを変化させると混乱しやすいからという理由だそう。一応、メトロノームに合わせて練習してきたから、へぇ〜?っと様子をうかがっているうちに「黒い瞳」は終了。松田聖子の「赤いスウィートピー」も歌謡曲に疎い私にとっては苦手だった。語るように歌うため八分音符、十六分音符の細かい連続が多い。歌詞を知らないので弾きにい。



演奏会や練習で使用している楽譜はすべて団のチェロ奏者の方が作成したものという。内声部を充実させる方向で編曲しているそうだ。ピアノ譜をそのまま写したような箇所では、ファーストに分散和音が多発するなど、ちょっと普通の弦楽合奏用の楽譜と違う感じもある。編曲譜は300曲以上を用意してあるそうだ。短い曲が多いとはいえ、大変な数量。自前で楽譜を作成している団体は、なかなかお目にかかれないのではなかろうか。

珍しいことに、ここにはコントラバス奏者1名が常時参加している。プロの方で普段はピチカートで弾く仕事をしているため、弓で弾く機会を増やす目的でアマチュアグループに来ているそうだ。さすがにプロの低音は雄大で強力。どっしりした音のピラミッドが立ち上がる。1stのおじさん3名は達者なベテランが揃い、主旋律をたっぷりと表情を付け朗々と歌っていた。レイトゆえ技術的に弱いセカンドはまあまあ普通。ビオラとチェロは上手な人がきっちり存在を主張していた。全体の音量は相当にパワフルで迫力は十分。

マチュア合奏団はいろいろ聞いているけれど、レイト中心のグループは金属的な音を出すし音程も甘く、単調な弾き方できれいに揃わない場合が珍しくない。こちらの団体は、プロの先生方も多く参加しているジュニア合奏団には及ばないものの、それに次ぐぐらいのパフォーマンスが可能と思われた。アンサンブルを開始したのは6年前で、毎月のようにあちこちの公民館や老人ホーム、幼稚園などからお呼びがかかり、演奏会をやっているそうだ。レパートリーもかなりあるらしい。「ふれあいサロン」を開催している自治会館が10か所ぐらいあって、それぞれの場所で順番に演奏しているという。聴衆の中には、おっかけの方もいて、あちこちの会場に駆けつけて聞きに来る。顔見知りなのだろう。 舞台と客席の間で声を掛け合うやりとりがはずんでいた。



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